医療法人立命会 村上循環器科

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狭心症

冠状動脈という心臓自身を養う血管の病気。冠状動脈が細くなったり、詰まったりすることで血流障害が発生し、発作的に5分から10分程度の持続の胸の痛みや圧迫感が発生します。ニトログリセリンを舌下すると改善することが特徴です。原因の大半は高血圧、糖尿病、高脂血症などによって進行する動脈硬化がほとんどで、冠状動脈にコレステロールの塊が沈着して血管が細くなっています。精神的緊張や不安などのストレスや睡眠不足などによって発作が誘発されやすくなります。特徴的な狭心症として、冠状動脈に細いところはなくても、血管の緊張が高まり、れん縮することで血流が悪くなって発作がおこることがあります。

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急性心筋梗塞症

心臓の表面の血管(冠状動脈)の動脈硬化によって血管の内腔が閉塞し、その先(末梢)の心臓の筋肉が酸素不足(虚血状態)になって壊死してしまうことをいいます。冠状動脈が閉塞すると約30分後から心筋の壊死が始まり、死を予感するような厳しい胸痛が特徴です。重篤な場合には血圧低下、意識障害などショック状態に陥ることがあります。突然死することもあります。急性心筋梗塞の死亡率は30%から40%といわれており、その多くは病院到着前死亡です。例外的に高齢者や糖尿病患者では、心筋梗塞になっても胸痛が発生しない場合があります。自分で気づかないまま急性心不全が悪化する場合があり注意が必要です。

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大動脈弁狭窄症

左心室の出口に位置する大動脈弁の弁口面積が極端に狭くなったり、弁が硬くなってスムーズに開口しなくなります。左心室から大動脈に血液が十分に送り出せなくなります。先天性、加齢性、リウマチ熱後遺症などが原因になります。長期間無症状で、症状が発生し始めると、まず労作時のめまいや息切れ、胸痛、呼吸困難などの心不全症状、時に失神することもあります。

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大動脈弁閉鎖不全症

左心室の出口の位置する大動脈弁がうまく閉まらなくなり、いったん大動脈に駆出された血液が左心室まで逆流してしまいます。原因は子供のころのリウマチ熱や感染性心内膜炎、大動脈弁輪拡大症、マルファン症候群、大動脈炎症候群などがあります。長期間にわたって無症状で経過し、やがて悪化すると、労作時の息切れや動悸などの心不全症状、胸痛、呼吸困難などがみられるようになります。

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僧房弁狭窄症

左心房と左心室の間にある僧房弁の弁口面積が癒着や肥厚によって狭くなり、また僧房弁の開口制限のために左心房から左心室への血液の流入制限が発生し、肺うっ血が生じる疾患です。原因の大半は幼少期のリウマチ熱後遺症です。労作時の息切れや動悸などの心不全症状のほかに、肺うっ血による労作時や夜間の呼吸困難、喘鳴、咳の群発などにより心臓喘息と呼ばれることがあります。長期にわたると腹水、肝臓腫大、足の浮腫がみられるようになります。心臓内に血栓を生じ、それが脳梗塞など全身の血栓塞栓症の原因になることがあります。

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僧房弁閉鎖不全症

左心房と左心室の間にある僧房弁がきちんと閉まらず、本来であれば左心室から大動脈に血液が駆出される際に、左心室から左心房に血液が逆流する疾患です。リウマチ熱後遺症のほか、僧房弁逸脱症候群、心筋梗塞による左心室乳頭筋不全、感染性心内膜炎などが原因になります。永年にわたり無症状で経過しますが、いったん悪くなると、労作時の動悸や息切れなどの心不全症状、急に悪化したときには、肺うっ血による呼吸困難を呈します。

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心筋炎(急性・慢性)

全身に血液を送り出すポンプである心臓の筋肉に炎症が起こり、心臓の収縮力が低下することによって心不全に陥る疾患を総称して心筋炎といいます。ウイルス感染(コクサッキーウイルスやC型肝炎ウイルスなど)のほかに細菌や寄生虫によるものが知られています。そのほかには、自己免疫疾患や放射線治療後遺症、抗がん剤などの薬剤によるものがあります。発熱、かぜ症状が先行し、胸部不快感、不整脈や心不全症状、重症時には血圧低下やショック症状、失神や心停止をきたすこともありますが、一方では自然に良くなることもあります。

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肥大型心筋症

心臓の筋肉が極端に肥大して左心室の内腔が狭くなり、左心房から左心室の血液が流れ込みにくくなったり、左心室から大動脈に血液が駆出されにくくなる疾患です。先天性の半数以上は心筋収縮関連タンパクの遺伝子異常が原因になります。約半数が家族性の遺伝性疾患です。大部分は自覚症状もなく、健康診断での心電図異常などで偶然発見されます。しかし、重症例では、青年期で突然死することもあります。労作時の息切れや動悸、呼吸困難や胸痛、めまいや失神も知られています。

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拡張型心筋症

心臓の筋肉が薄く伸びて内腔が拡大すると同時に、心筋収縮力が低下し、血液の駆出が十分でなくなるため、肺うっ血などの心不全症状や重症の不整脈を発生したり、左心室内の血栓により脳梗塞を併発することがあります。原因は正確には特定できていませんが、ウイルス感染や遺伝子異常が主因と考えられています。労作時の息切れや動悸などの心不全症状がみられます。悪化すると労作時や夜間の呼吸困難、血痰、下肢の浮腫などのうっ血症状が目立つようになります。重症の場合、幼少時から心不全のために動けなくなり心臓移植手術の適応になることで有名です。致死的な不整脈、突然死、脳梗塞などもあります。

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感染性心内膜炎

心臓内に細菌が付着し、弁を破壊して弁膜症から急性心不全をおこしたり、最近の塊が全身の血管につまり塞栓症をおこす疾患です。かぜ症状が長引いたり、発熱などから始まります。やがて動悸、息切れ、呼吸困難などの心不全症状を呈するようになります。長期間にわたって繰り返す発熱がある場合、必ず考えないといけない疾患です。

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大動脈瘤

大動脈の一部が瘤状(コブ状)に膨らむ状態です。大半が無症状ですが、大きくなると圧迫感や拍動感を感じるようになります。胸部大動脈瘤では神経が圧迫されて声が枯れる(嗄声)がみられることがあります。気管が圧迫されると息苦しくなったり、食道が圧迫されると嚥下がスムーズでなくなったりすることもあります。腹部大動脈瘤が大きくなると自分でお腹を触るとドキドキ拍動していることが判ることもあります。瘤の直径が5cmを超えると破裂する危険があります。破裂してしまうと突然死することがあります。破裂していないのに胸痛や腹痛が発生することを切迫破裂と呼び、緊急に手術する必要があります。

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大動脈解離

大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっています。高血圧などの血管ストレスが原因になって、内膜の一部に亀裂が入り、中膜に血液が流れ込んで、血管壁が2層に引き剥がされてしまう疾患です。突然の激しい胸痛や腹痛の発作がおきます。背中が痛くなることもあります。痛みの場所が移動することで知られています。他にも急性心不全や心筋梗塞、意識障害など重篤な症状を呈し、中には短時間で死亡してしまう重症例もあります。

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閉塞性動脈硬化症

手足の動脈の動脈硬化が進み、血管が細くなってしまったり、詰まってしまう(閉塞)することで血液の流れが悪くなり、末梢の痛みや歩行障害、壊疽を起こす疾患です。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙が重要な危険因子です。

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深部静脈血栓症

下肢の深部の静脈に血栓ができて、静脈内腔が詰まってしまうため、下肢の血液が心臓に還流されにくい状態で、下肢にうっ血症状をきたし、下肢の腫脹や熱感、疼痛をきたします。下肢にできた血栓が静脈内を流れ、心臓まで戻り、肺動脈に詰まると、肺動脈血栓塞栓症となり、胸痛や呼吸困難、突然死をきたすことがあります。国際線の飛行機の座席に長時間座っていることで発症するエコノミークラス症候群と呼ばれたり、大災害での避難所生活で発症しやすいことで有名になりました。血液が固まりやすい素因(体質)を持った人に発症しやすいとされています。

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下肢静脈瘤

立っているときに下肢の表面にある静脈(表在静脈)はうっ血して怒張し、瘤のように腫れている状態を下肢静脈瘤と呼びます。静脈の中にある逆流防止機構である静脈弁の故障によって発症します。むくみ、だるさ、熱感、かゆみ、皮膚の湿疹や色素沈着、重症例では皮膚に潰瘍ができることがあります。

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肺血栓塞栓症

下肢の静脈にできた血栓が静脈壁からはがれ、血流に乗って心臓から肺動脈に運ばれ、肺動脈で詰まってしまうことにより発症します。突然始まる息切れや呼吸困難、胸痛、咳、血痰などが特徴的です。急性の場合、安静の状態から起き上がり動き始めた時や、排便などでいきんだり、体位を変えたときに発症しやすいといわれています。

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本態性高血圧症

原因不明の高血圧を指していいます。高血圧の大半は本態性です。遺伝因子と環境因子、生活習慣などが組み合わさって発症するとされています。脳卒中や心臓疾患の危険因子として代表的なものですので、普段症状がなくても、正確に治療し、血圧を下げておくことが重要です。

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二次性高血圧症

原因がはっきりしている高血圧です。手術することにより感知する場合もあります。高血圧全体の約10%が二次性高血圧だろうと言われています。原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群が有名でいずれも、腎臓の上部にある副腎の疾患であることが多いとされています。腎臓に血液を送る腎動脈が、動脈硬化や繊維筋性過形成によって細くなり、腎臓に行く血液に血行障害によっても血圧が上昇し、腎血管性高血圧と呼んでいます。血管を拡げる手術を行います。

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起立性低血圧

立ち上がることによって生じる反射性の血管収縮が出ない場合や、高度の脱水などによって血圧調節不全がある場合、立ち上がるなどの体位の変化に際し、血圧調節が追い付かず、血圧が著しく低下する病態です。高齢者、糖尿病、貧血の人に多く見られますが、大きな基礎疾患を有しない健康若年女性でもよく見られます。立ちくらみ、ふらつき、頭痛、視野障害、目の前が真っ暗になったり、真っ白になったりする、ときに単位間の失神をきたすこともありますが後遺障害なく回復します。起立性低血圧は高血圧患者さんにも発生します。

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食事性低血圧

食後は食べたものを消化したり吸収するために,胃や腸に沢山血液が必要になります。このため、通常は自律神経に働きにより、心拍数を増やしたりや血圧を上げることで調節していますが、高齢者や糖尿病患者さんでは、この自律神経の調節が不十分になるので、脳への血流が減少し、めまいやふらつき、失神を起こすことがあります。食後30分から1時間にかけてが多いとされています。失神して転倒して、骨折や打撲など大けがをすることがあります。
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